ミシン修理ブログ第58回 エルナプレス 電気はつくが熱くならない

 

  みなさん、こんにちは!スタッフです。

 3月に入り、段々と春らしい気候になってきました。

 特に晴れた日は、日向ぼっこをしたくなるような暖かさですね(*'ω'*)

 3月と言えば卒業ですが、私の周りでも地元を離れていく友人がちらほら…。

 この年齢になると結婚の話題が多く、地元を離れる友人の多くは結婚です。

 結婚ラッシュなるものを今迄経験したことが無かったのですが、

 今年、初めてのラッシュになりそうです。結婚もラッシュならば出産もラッシュに

 なるのだろうと何となく今から覚悟をしている私です(笑)

 

  さて、今回の修理ブログはおなじみになってきました、エルナプレスです!

 川崎市にお住いの方から、「ホームページを見ました。私のアイロンプレスも

 修理して頂けませんか」とお問い合わせがありました。

 どんな状態なのかをお聞きすると、「20年ほど前に購入した物で、電源は入るし、

 ランプは点灯して、操作する面はきちんと動くのに熱くならない」とのこと。

 お話の内容から、中の電子基板が悪くなっているな~という印象でしたので、

 エルナプレスもかなりハイテクになっているのだなと感じました。

 

 最近の電子基板は、集積回路を使用しているので、場合によっては直らない可能性が

 あることをお伝えしたうえで送って頂きました。今まで送って頂いたエルナプレスは、

 100%直って送り返せていましたが、今回は無理かもしれないと思いました。

 

 送って頂いたエルナプレスを見ると、いかにもハイテクという感じでした。

 今まで修理したものと違い、操作面もスイッチや温度調整器が見当たらず、

 流線的で、かなり洗練されたデザインになっています。

 

 分解したり組み立てたりする時のネジ類も見受けられず、最近のミシン同様、

 組み立てるのは簡単ですが、分解するのは難しそうです。

 なんとか分解してみると、思った通り操作部の制御用の電子基板と

 ヒーターなどにつながるメイン基板の2枚しかありません。

 操作部の制御用電子基板は問題がありませんが、メイン基板の方が

 全く反応してくれません。テスターであちこち測定しても、

 どの部分が悪いのか全然わかりません。

 eruna02.JPG

 本来なら、部品さえ手に入れば新しい電子基板に交換してOKとなるのですが、

 スイス製でしかも20年以上前の製品となると仮に日本に代理店があっても

「部品がありません」と言われるのが当然だろうなと考えていました。

 

 通電したまま基板をつついていたら、瞬間的ですがアイロン面が温かくなりました。

 これはメイン基板のどこが悪いかを探せれば何とか直せる!と確信しました。

 翌日、通電したままテスターで調べていたら、基板の裏面で火花が飛びました。

 早速、コード端子を全て外して、メイン基板の取付ネジを外し、裏面を見てみると

 大型トランジスターの3本足の内1本が、きちんとハンダ付けされていません。

 原因がわかりました。

 eruna01.JPG

 その部分をハンダ付けして、再度基盤を取り付け、通電してみました。

 すると、アイロン面が熱くなってきました。電気回路はこれでOKです。

 

 本体内の綿ぼこりを圧縮空気で吹き飛ばし、外した外装部分は丸洗いして

 汚れを取り除いて乾燥させました。

 更に、木のアイロン台に3mm厚のコルクを取り付けて組み立てました。

 

 実際に試運転をしてみると、低温・中温・高温と上手く温度も切り替わります。

 長くアイロン面をアイロン台に接触させておくと、ピーピーと警報音も鳴ります。

 これで完成と言いたいところですが、使用中に押えレバーを上げると、

 その都度押えレバーのロック用スライダーが勝手に動いてしまいます。

 これでは使いづらいので、0.3mm程の厚みの合成樹脂の薄板をスライダーの裏面に

 貼り付けると、ちょうどいい動きになりました。これで完成です。

 eruna03.JPG

 今まで、エルナプレスの修理は全て修理内容が異なります。

 その為、時間もかかり、採算的には合いませんが、頭の体操になりますし、

 なによりお客様に喜んでいただけるのが嬉しいので続けるつもりです。

 

 お困りの時は、まずお電話でお気軽にお問い合わせ下さい(*'ω'*)