ミシン修理ブログ第74回 エルナプレス JENEVE2000 EP43 電源が入らない

 

 

  みなさん、こんにちは!スタッフです(*'ω'*)

 今年もまた熱中症になる方が多いですね…

 最近は地震も多いように感じます。自然には敵わないので

 しっかりと対策はしていかなければならないなと思います。

 

  さて、今回は番外編で何度も登場しているエルナプレスです。

 久しぶりに使おうとしたら、電源が入らず、全く熱くならないとのことで

 送って来られました。

 

 分解してみると、コンピューター基板が原因のようです。

 アイロン部は大丈夫ですが、制御する部分がパンク状態です。

 今までは、ヒーターの所にサーモスタットを使用して温度の上げ下げを

 していましたが、温度センサーが付けてあるだけ。

 電子部品も20~30年以上前のものなので手に入りません。

 基板さえ手に入れば「基板交換」で簡単に直るのでしょうが、

 海外製品で日本には代理店が無く、仮に代理店があったとしても

 20~30年前ではおそらく在庫もないと思います。

 

 知人の電子関係の方に見せても、

 「これはもう使われていない部品ばかりですね。直そうと思っても部品が

 手に入りませんよ。これを今迄のようにしようと思うと、最初から

 設計しなおして、何回も試作して…。部品も大量生産なら作ってもらえるかも

 知れませんが、1台、2台の修理の為となると、とても採算が合わなくて

 まともに相手してもらえませんよ」と言われてしまいました。

 

 それならアナログ式に変え、サーモスタットを使用して温度調整するしかない

 と思い、新しく基板を作り変えることにしました。

 

 アイロン部分を分解してみると、ヒーターの温度センサーが4m/mΦのネジを

 使って取り付けてありました。それを利用して、4m/mΦの高ナットで

 サーモスタットを取り付けようと考えましたが、合うようなサーモスタットが

 見つからず、とても大変でした。

 エルナ200001.JPG

 なんとか調達して基板を作り、229℃の温度ヒューズをサーモスタットに組み込みました。

 そして、ヒーターが700Wの定格だったので、8Aの電流ヒューズを基板に取り付けました。

 エルナ200002.JPG

 不思議なことにエルナプレスには、安全のためのヒューズが全く入っていません。

 現在売られている商品には当然ついていると思いますが…。

 

 サーモスタットのダイヤルを作成し、アイロン台の金属カバーに穴を開けて取り付けました。

 電源スイッチは、プラスチックカバーの上部に熱を受けないように取り付け、

 サーモスタットに電流が流れている時はネオンが点灯するようにしました。

 エルナ200003.JPG

 どうにか無事に完成し、お客様にお送りすることが出来ました。

 今回のエルナプレスは、ミシンの修理が忙しい時期だった事、

 またサーモスタットのついていないものが初めてだったこともあり、

 相当な修理時間と日数がかかり、お客様に大変ご迷惑をお掛けしました。

 申し訳ない気持ちでいっぱいですが、今回の修理のおかげで、

 どんな状態のエルナプレスが来てもヒーターさえ壊れていなければ

 何とか直せる自信がつきました。

 今迄修理してきたエルナプレスで、ヒーターの中の電熱線が悪かった事例は

 一件もないので、さすがスイス製だなと感心しています。

 

 

 同じような症状でお困りの方、どこに相談したらいいかわからないという方は

 一度当店にお電話ください。ミシン修理の間で修理させていただくので、

 場合によっては長期日数を頂くこともありますが、お電話を頂いた際に

 担当の者より詳しく説明させていただきます。お気軽にお問い合わせください。