ミシン修理ブログ第69回 Singer 足踏みミシン 半回転釜

 

  皆さん、こんにちは!お久しぶりです

 コロナの影響でマスク作りをする方が多く、修理依頼をこなす事が

 精一杯で、修理ブログの方まで手が回りませんでした(;´・ω・)

 20年振り、30年振りにミシンを使うという方もとても多いです。

 

  今回は、シンガーの足踏みミシンで、超希少価値の水平釜、

 半回転釜ミシンの修理依頼です。

 今迄、シンガーのHA型の足踏みミシン(黒塗り)は数多く修理してきましたが、

 ミシン屋さんになって初めて見た型です。

 お客様からお話をお伺いすると、

 「普通の足踏みミシンではないので、部品も無く修理しようがない」と

 今迄どこへ行っても断られ続けてきたそうです。

 しかし、「母親が大事にしていて、音も静かで使い易いので直せるものなら

 直してほしい」との事で、当店へ依頼がきました。

 

 ボビンなどはかなり残っているので、頭の部分だけ持ち帰りました。

 お客様には、「50年以上前の製品なので無理かもしれませんよ」とお伝えし、

 修理に取り掛かりました。

 

 分解してみると、水平釜の大釜部分のレールに当たるところがかなり痛んでいます。

 シンガーHA型01.JPG

 シンガーHA型02.JPG

 大釜と本体のレールにあたる部分を削って修正し、スムーズに動くようにしてみると

 綺麗に縫えるようになりました!

 シンガーHA型03.JPG

 今、家庭用ミシンと言えばほとんど水平釜ですが、こちらのミシンは

 70年以上前のものではないかと推測されます。

 当時、水平回転釜で、しかも現代のように全回転ではなく半回転釜のミシンは、

 本当に珍しくかなり高価だったのであまり家庭に出回らなかったのだろうと思います。

 修理を終えて実際に縫ってみると、音も静かで

 ボビンケースを使用しない為、糸がらみも少なく、

 当時、シンガーミシンが世界一と言われた時代の

「技術の粋を集めたミシン」だなと感心致しました。

 私もとても勉強になったご依頼でした。

 

 どれだけ古いミシンでも直る可能性はあります。

 部品が手に入らないものが多いため、確実に直るとは断言できませんが

 もし、「うちのミシン古いけど直るかしら…」など、

 疑問に思ったことがありましたらお気軽にお電話下さい(*'ω'*)