ミシン修理ブログ第51回 泥水に浸水 電子ミシン ジャノメ 5810

 

 

  こんにちは。スタッフです。甚大な被害が出ております、豪雨災害。

 この度の大雨で被災された地域の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 あれから一週間。「もう一週間」も経ってしまいました。

 日ごとに分かっていく、死者・行方不明者の人数と被害状況。

 どういう風に言葉にしていいか分かりません。

 私の地域は、滅多に災害のないところですが、

 その油断が本当に危ないんだと痛感するほど、恐怖を感じました。

 本当に油断大敵!備えをしていてもどうにもならない時はありますが

 それでも、しっかりと備えはしておきましょう!(*'ω'*)

 

  さて、今回の修理は、知り合いのミシン屋さんから持ち込まれた依頼です。

 「山田さん、床上浸水で水没したミシンでも、直せるかな?無理だよね…」

 と言って、ジャノメ モデル751型 5810を持って来られました。

 話を聞くと、この度の大雨で、家の中まであっという間に水が入り、

 2階に避難はしたものの、ミシンは持ち出せなかったというお客様から

 頼まれた修理という事です。

 「100%大丈夫とは言えないけど、電気のスイッチを入れてなければ

 なんとかなると思う」と答え、預かりました。

 

 今の電気部品は、基板なので、昔のようにリレーや真空管は使っておらず、

 集積回路です。泥水に浸かっても、早い時期であれば、基板を各部品ごとに分解し、

 水洗いして、圧縮空気で水分を飛ばし、完全に乾燥させればなんとかなります。

 モーターもカーボンブラシなどを外して、綺麗に水洗いし、完全に乾燥させてから

 モーターの軸受などに油を注してやれば使えるようになるはずです。

 ジャノメ58101.JPG 

 外側は、タオルでふいて来られたようですが、分解してみると、

 ミシンの中に泥水が沈殿して層になっています。

 モーターも外してみると、泥が付着していて名盤の字もほとんど見えません。

 ジャノメ58103.JPG

 本当に濁流に巻き込まれた様子がうかがえます。

 「大変だったんだろうな…」と感じると同時に、このミシンの持ち主である方の

 ミシンに対する愛着も感じます。

 ジャノメ58102.JPG 

 写真で見るように、ほとんど泥水で汚れていますので

 スイッチなども分解し、綺麗にして、接点が錆つかないように

 接点復活スプレーを吹きかけ、乾燥させます。

 リミットスイッチなどは、水が滲みこみますので、

 入念にエアーコンプレッサーで水分を吹き飛ばして乾燥させます。

 手間と時間が掛かりますが、本体の方の内部も全て流水と圧縮空気を使って

 泥を流し、完全に乾燥してから各部分へ注油します。

 ジャノメ58104.JPG

 そして、すべて組み込み完成です。音も動きも快調になりました。

 ジャノメ58106.JPG

 水に浸かっても、早い時期ならば、なんとか修理が出来ますが、

 あちこちに錆が出てきてからでは、修理が出来なくなってしまいます。

 一番注意して頂きたいのは、「絶対に通電しないこと」です。

 内部には、水分が残っていますので、感電したり、漏電などの思わぬ事故に繋がります。

 又、事故まではいかなくても、基板やモーターなどが

 ショートして全くの廃物になってしまいます。

 「ちょっと電気を入れてみた」というのは絶対にダメです!

 今回、水害に合われた方、特別価格で修理させて頂きます。

 「修理したけれど、直らなかった」という場合も当然あります。

 その場合は、直らない限り、お代は頂きませんので、お気軽にお電話くださいね♪