ミシン修理ブログ第39回 ブラザー PS15e 糸をすくわない、前に進まない

 

  みなさん、こんにちは!スタッフです。

 7月に入り、グンと暑くなりましたね(;´・ω・)

 家や職場では、エアコンが必須になっております。

 実際、部屋の中でも熱中症、脱水症状にはなるので、

 しっかりと水分をとり、室温も調整して、気を付けていきたいですね♪

 

  さて、早いもので、修理ブログも39回を迎えました。

 少しでも、皆さんのお役に立てる記事になっていればと思います。

 

  今回は、ブラザーPS15e の修理依頼です。

 40代くらいの奥様が、「安物のミシンでも、修理してもらえますか?」と

 恐る恐るお店に持って来られました。

 お話をお聞きすると、当店へ来られる前に、

 他店様の「修理代500円」という広告を見て、修理をお願いし、自宅へ来てもらったそうです。

 

 ところが、「通販で購入した安物のミシンは、修理するように作っていないし、

 20~30万円のミシンと同じように修理代がかかるので高くつく。買い替えた方が

 絶対にお得ですよ。」と購入を進められたとのこと。

 それでも、「母親が購入したミシンだから直してほしい」と再度頼むと、

 「部品が手に入らないので」と言って帰ってしまわれたそうです。

 その後、友達から当店の事を聞き、来店されたとのことでした。

 

 故障内容をお聞きすると、

 糸をすくわない、前へ進まず、バックしかしないという状態。

 当店では、500円や1000円で、修理することはできないという事を伝え、

 分解して修理する場合の大体の金額をお話しました。 

 そして、納得して頂いた上で、お預かりしました。

 

 分解してみると、前進後進の切り替え駒の油が固まり、

 動かなくなっているのが原因でした。切り替え駒を分解し、

 固着したところを掃除して、油を塗り、組み込みました。

 ブラザーPS15e02.JPG

 下糸を拾わなくなっていたのは、針棒抱き止めネジの

 緩みが原因でした。アルミの材質に、直に穴をあけ、ヘリサートを入れて

 ネジを切っているため、固く締めすぎると、ヘリサートが抜けてしまったり、

 割れてしまいます。その為、ほどほどの締め付け力で締めており、

 緩むことがままあります。ここが、二重、三重と、組み込んであれば強いのですが…。

 ブラザーPS15e01.JPG

 最後に糸通し器の調整をして、試し縫いをすると、

 ニット地では目飛びしてしまいます。針と大釜の隙間を調整して、

 再度試し縫いをし、OKとなりました。

 ブラザーPS15e03.JPG

 引き渡し時に、お客様とお話をしました。

 「電話をして、自宅まで訪問し、500円で修理します。というのは、

 ガソリン代(出張費)、修理代、全て込みで500円ということです。

 まともな商売では大赤字になってしまいます。社員さんの給料も出せませんし、

 裏に何かある、おかしいと感じなければなりません。10年ほど前に、

 そういうやり方で商売をし、業務停止処分を受けて70社ほどのミシン屋さんが

 倒産しました」と。

 未だに、そういう手口で、ミシンを販売している業者さんがあるというのは、

 同業者として、とても恥ずかしい話です。