ミシン修理ブログ第36回 番外編(2) エルナプレス 修理

 

 

  皆様、こんにちは!スタッフです(*^-^*)

 4月中旬も過ぎ、きれいな桜が葉桜へと変わっています。

 桜は咲いてる期間はとても短いですが、

 力強く、満開に花を咲かせる姿には元気を貰えます

 桜の時期は、あと少しですが、しっかりとパワーを貰いたいと思います(笑)

 

  さて、今回は修理ブログ第32回で書きました、番外編の番外編です。

 東京にお住いの主婦の方から、「修理ブログを見ました。私のエルナプレスも

 直して頂きたいので送ってもいいですか?」というお電話を頂きました。

 スイス製 アイロンプレッサー エルナプレスが壊れたので、修理してくれる所を

 探していたら、たまたま当店の修理ブログ番外編(1)を見つけられたそうです。

 

 お話をお聞きすると、購入した伊勢丹でも同じような商品を今は扱っておらず、

 修理も出来ないと言われ、いろんな電気店に問い合わせても同じ返事ばかりで

 全く無理とのこと。「30年近く重宝して使っていたので、エルナプレスがないと

 生活に困るんです」と大変切実なお電話でした。

 

 「ミシンと違って、どんな部品が必要になるかわからない上に、

 国産で似た部品が手に入るかわからないので、直せるとは

 言い切れませんが一応やってみましょう」とお引き受けしました。

 翌日、ヤマト運輸の家財引っ越し便で送って来られました。

 

 30年ほど前のエルナプレスとお聞きしていたので、相当改造するように

 なるかもしれない…と思いながら分解してみると、アイロンシューの熱で

 スイッチが劣化し、全く使い物にならない状態でした。

 アイロンシューの温度調節器は、アイロンシューの裏側の中心から

 外れた場所の上部に取り付けてあり、熱の影響を受けにくいので

 多分大丈夫だろうと思い、テスターで抵抗値の変化を調べると正常です。

 変化するという事は、奥の発熱部分であるニクロム線も断線していない

 という事になりますから、これは直せると確信しました。

 

 前回修理したアイロンプレッサーは仕事で使用されていたので、

 熱の受け方も壊れ方も酷く、重傷の状態でしたが、今回のお客様は、

 家事で使用されており、大切に使われていたので、交換する部品も

 少なくて済みそうです。また、かなり安く、納期も早く届けられそうである

 ということをご連絡すると喜んで頂けました。

 

 前回は修理マニュアルも図面も無かったので、

 手探りの状態で大変でした。

 しかし今回は前回修理した時の経験と改造するための設計図も

 図面で残してあり、スプリングも大丈夫だったので

 かなり楽でした。 やはり何事も経験ですね。

 

 次回、このお客様のアイロンプレッサーが故障した際、

 近くの電気店に持って行っても修理できるようにと、

 スイッチはパナソニック製の屋内配線用スイッチを使用し、

 大容量の電気が流れてもコードが熱を持たない様に

 屋内配線用の心線を使用しました。

 エルナプレス01.JPG

 また、今まではスイッチ類が内部のニクロム線の熱を

 受けやすい位置に取り付けてありましたので、外部に変え、

 指先で押しやすい位置にねじ止めで取り付けました。

 

 この位置なら、ほとんどアイロンシューの熱を受けませんし、

 美観的にも違和感がありません。

 またアイロンシューのプレスを受ける台もスポンジでは

 熱でボロボロになfるので、前回同様、木の台の上に

 3㎜厚のコルククラフトを敷きました。

 台を交換する必要がある時には、ネジを取り外せるように

 ネジ穴の所に12㎜径のポンチでコルクを抜き、

 針やピンなどで抜き取れるようにして、コルクを埋め込みました。

 エルナプレス02.JPG

 お客様から「セーフティロックが解除しにくく、

 レバーを動かせなくなる状況があったので、それも直してほしい」

 という要望があったので、セーフティロックが穴の中心線の位置に

 スライドするように調整しました。

 

 改造修理が終了したので、試運転でスイッチを入れ通電してみると

 サーモスタットも異常なく、実際にタオルやTシャツ・ズボン等も

 プレスしてみると、アイロンをかけた時のようなテカリもなく、

 簡単に短時間で綺麗にプレスできました。

 これで完成です。

 エルナプレス03.JPG

 後日、お客様から、「完璧な修理で感激しています。」と

 わざわざ高価なお菓子とお礼状をいただきました。

 私の方こそ、お客様に喜んでもらえて、すごく嬉しかったです。

 

 前回、仕事で使っている方のファッションプレスをお受けした時は

 自分でも直せる自信がなく、試行錯誤を繰り返しての修理だったので

 使えるようにするだけで精一杯でした。しかし、今回は、

 さらにもっと使い易く、見た目にも美しく、という点にも配慮した改造修理となり

 私も久々の頭の体操をしているようで楽しかったです。